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広告代理店レポートの見方は、目標CPAの出どころから

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広告代理店レポートの見方は、目標CPAの出どころから

レポートを見ても、決められない。毎月そんな状態が続いていませんか。

原因は、指標の知識ではありません。レポートの目標CPAが、どこから来た数字なのかを知らないまま見ているからです。

あの数字は、媒体の管理画面が自動で出した予測値ではありません。代理店の担当者が、過去の実績と経験から手で置いた仮定です。人が置いた数字には理由がある。そこを聞けるかどうかで、会議の中身が変わります。

この記事では、届いたレポートをどこから見るか、代理店に何を聞くかを書きます。

この記事でわかること

  • 目標CPAは、担当者が過去実績と経験から手で置いた仮定値である
  • CTRとCVRを決めているのは人。確かめるのは数字でなく見立ての根拠
  • 中間指標が伸びても成約が増えるとは限らない。伸び率の関係まで出してもらう
目次
  1. 広告レポートは、見る指標を絞ってから開く
  2. 目標CPAは、媒体のツールが出した数字ではない
  3. 広告レポートに載らないものは、頼まないと載らない
  4. 確かめるのは数字の正しさではなく、広告代理店の意思
  5. 中間指標が伸びても、ゴールにつながるとは限らない
  6. この読み方が効かない場面もある
  7. よくいただく質問
  8. まとめ:見立ての出どころを、一度だけ聞いてみてください
  9. 参考にした資料

広告レポートは、見る指標を絞ってから開く

届いた資料を1ページ目から順に追うと、途中で力尽きます。表示回数、クリック数、クリック率、クリック単価。数字は並んでいるのに、読み終えて残るのは「動いてはいる」という感触だけになります。

開く前に、見る指標を4つに決めておきます。

指標何を見る数字か見るときの注意
コンバージョン数申し込み・資料請求などの獲得件数何を1件と数えているかを先に確認する
CPA1件あたりにかかった広告費目標CPAと並べないと高いか安いかが決まらない
CVRクリックのうち何パーセントが獲得に至ったか着地ページと商材で決まる。運用で急には動かない
費用その月に使った広告費予算に対する消化の速さを見る

残りの指標は、この4つのどれかが動いた理由を探すときに戻ってきます。最初から全部を横並びにすると、どれが原因でどれが結果なのか分からなくなります。絞っておくと、会議が「数字の読み合わせ」から「打ち手の相談」に変わります。

このうち先に一度だけ確認しておきたいのが、コンバージョンの定義です。CPAの分母がコンバージョン数なので、何を1件と数えているかで同じレポートの見え方が変わってしまいます。

資料請求と問い合わせを合算しているのか、電話は含むのか、重複はどう除いているのか。さらに、媒体側の計測とアクセス解析側で数え方が違っていることもあります。数え方を揃えないまま数か月ぶんのCPAを並べると、運用の良し悪しではなく数え方の違いを見ていることになります。

指標には、動かしやすさの順番がある

同じ広告レポートに載っていても、指標には動きやすさの差があります。運用の操作で数週間のうちに動くものと、そう簡単には動かないものがある。動きやすさを分けずに見ると、代理店の打ち手で動いた分と、商材や市場で決まっている分が混ざります。

動かしやすさ指標主に決めているもの
動きやすいCTR・CPC・表示回数入札、配信面、クリエイティブ
中くらいコンバージョン数上の3つの積み上げ
動きにくいCVR着地ページ、商材、検討期間
いちばん遅い成約率・受注単価営業の体制、価格、競合の動き

上の段ほど、月内の打ち手で見栄えが変わります。下の段ほど、変えるには広告の外側に手を入れる必要があります。

良い成果が報告された月ほど、どの段が動いたのかを聞いてみてください。CTRだけが上がっていて、コンバージョン数は増えていない月も珍しくありません。

逆に、CVRが下がった月に運用担当を問い詰めても、打ち手はあまり出てきません。着地ページか、商材の見せ方か、集めている人そのものが変わっているからです。

広告レポートの形は、頼めば変えられる

毎月同じ形で届く資料は、初回の提案時に決めた形がそのまま残っているものです。ただし、見直しを頼んではいけない決まりはありません。

依頼の仕方は簡単です。「最初の1枚に、コンバージョン数・CPA・CVR・費用の4つと、それぞれの目標値を並べてください」。

これだけで、開いた瞬間に成果の位置が分かるようになります。

枚数は減っても構いません。厚い資料が良い成果を意味するわけではないので、判断に使う面だけを前に出してもらいます。残りのページは、原因を探すときの資料として後ろに置いておけば足ります。

目標CPAは、媒体のツールが出した数字ではない

提案を受けた日のメディアプランに、目標CPAとコンバージョン数の見込みが並んでいます。この数字を、媒体の管理画面が出した予測値だと受け取っていないでしょうか。

そう受け取ると、質問する先がなくなります。機械が出した客観的な数字なら、聞いても仕方がないからです。

ところが、この数字を置いているのは人でした。

仮定値を手で置いてから、式に通している

広告のプランニング手順を公開している支援会社の記事を、3社ぶん見ました。

今回調べた範囲では、組み立て方に共通する形がありました。

  1. 過去の実績や媒体ごとの単価感をもとに、CTRとCVRの仮の数値を決める
  2. 表示回数 × CTR = クリック数
  3. クリック数 × CVR = コンバージョン数
  4. 広告費 ÷ コンバージョン数 = CPA

式そのものは機械的です。四則演算しか出てきません。

ただ、式に入れる最初の2つ——CTRとCVR——は、担当者が過去実績と経験から置いています。出てきた目標CPAの精度は、入口に置いた2つの仮定値の精度で決まります。

目標CPAが決まるまでの計算の流れと、人が仮定値を置いている位置
目標CPAが決まるまでの計算の流れと、人が仮定値を置いている位置

例外の手順も書かれていました。実績のない媒体を新しく足すときは、媒体の営業担当にシミュレーションを依頼します。あるいは、管理画面の予測機能を参考データとして使います。

裏を返せば、実績のある媒体では、営業担当のシミュレーションにも予測機能にも頼っていないことになります。

同じ商材でも、会社によって出てくる数字が違う

相見積もりを取ると、目標CPAが会社ごとに割れます。片方は強気、片方は保守的で、どちらを信じればいいのか分からなくなる。

割れる理由は、ここまでの流れで説明がつきます。過去の運用実績も、媒体ごとの単価感も、会社ごとに違うからです。つまり、同じ商材でも、置くCTRとCVRが違えば、出てくるCPAも変わります。

比べるのは、数字の高さではありません。どの実績から、いくつを置いたのかのほうです。

そこを聞くと、強気に見えた会社が「近い商材で実際に取れていた水準です」と答えることもあれば、根拠が出てこないこともあります。同じ数字でも、意味がまったく違ってきます。

この事実が、質問の中身を変える

数字を機械が出したと思っている限り、聞けることは「この予測は当たりますか」しかありません。当たるかどうかは、やってみないと分かりません。

置いたのが人だと分かると、聞ける質問が増えます。たとえば、どの案件の実績を使ったのか。CTRとCVRにいくつを置いたのか。なぜ、その水準だと考えたのか。

質問の相手が、ツールから人に変わります。

POINT

  • メディアプランの目標CPAは、担当者が過去実績と経験から手で置いた仮定値である
  • 式の入口にあるCTRとCVRを決めているのは人
  • ここの精度が、そのまま結果の精度になる
  • 出所は代理店の自社ブログ3件
  • 業界の実務を示す材料であって、統計ではない

広告レポートに載らないものは、頼まないと載らない

広告レポートは、媒体の管理画面から出せる数字で組まれています。表示回数からコンバージョン数までは、そのまま抜き出せます。

一方、その先の数字は、管理画面の外にあります。商談になったか、受注したか、いくらの売上になったか。どれも事業側にしかありません。

誤解されやすいところを、先に書いておきます。

発注する側で見てきた範囲では、受注件数やROASが返ってこなかったことはありませんでした。必ず聞かれる項目なので、用意されている状態が普通だと思います。返ってこないとすれば、理由はひとつです。こちら側がその情報を渡していないからです。

数字出どころ出てくる条件
表示回数・クリック数・CPA媒体の管理画面何もしなくても載る
商談化率・受注件数・ROAS事業側の営業データこちらが連携すれば載る
受注までの日数・失注の理由営業の記録項目を決めて渡せば載る
指名検索の増減検索の集計分けて集計するよう頼めば載る
管理画面の内側にある数字と、事業側にしかない数字の境目
管理画面の内側にある数字と、事業側にしかない数字の境目

この表の2行目から下は、どれも「頼めば載る」側にあります。そのため、載っていない状態が続いているとしたら、依頼と連携が抜けているだけです。

渡す側の作業は、思っているほど重くありません。広告経由の問い合わせに、商談になったか・受注したか・金額の3列を足すところから始められます。

続けるコツは、項目を増やさないことです。

  • 誰が:営業の担当者、または問い合わせを受けている人
  • いつ:月末に1回、まとめて
  • どこに:いま使っている顧客の一覧に、3列を足すだけ

最初の月は、抜けがあっても構いません。全部そろえてから始めようとすると、そこで止まります。むしろ、粗いまま1回転させて、翌月に精度を上げていく進め方のほうが続きます。

3列がそろうと、広告の成果と営業の受注が同じ表に並びます。ここまで来れば、代理店に渡すのは表を1枚共有するだけで済みます。

道具を買う前に、人が突き合わせて確かめる

計測の仕組みを入れないと無理だと考えて、そこで止まってしまう会社をよく見ます。

先に手作業で、1か月ぶんを照らし合わせてみてください。いま社内にあるデータを人が突き合わせるだけでも、どの経路がずれているかは見えます。見えたあとで、続けるために道具を入れる。この順番のほうが失敗しません。

CPAと売上のつなぎ方は、CPAと売上の関係にまとめました。許容できるCPAを成約単価から割り戻す手順は、そちらに置いてあります。

確かめるのは数字の正しさではなく、広告代理店の意思

目標を決める場面のやりとりに、覚えはないでしょうか。

「御社の目標CPAはいくらですか」と聞かれ、こちらが答え、その数字がそのままメディアプランに入る。目標の確認という形をとりながら、見立てそのものはこちら側が出しています。

発注する側で見てきた範囲では、この形が続いていました。自分たちならいくらで取れると思うか、という意思のほうは出てきません。理由は、その商材で運用した経験がないからです。

経験のない担当者を責めても、数字は良くならない

見立てが出てこないことを不誠実さとして受け取ると、話がこじれます。原因は別のところにあるからです。

その業種・その商材で運用した経験がなければ、いくらで取れるかの感覚は持ちようがありません。感覚がないまま数字を出せば、外れたときに理由を説明できなくなります。だから、聞く側に回る。

責める相手は担当者ではありません。経験のないまま見立てだけを求められている状態のほうです。

そのため、こちらの聞き方も変わります。

聞くのは2つだけ

  1. 自分たちなら、いくらで取れると思いますか
  2. なぜ、その見立てなのですか

まだ運用したことのない商材であれば、1つ目の答えが薄くても構いません。見るのは2つ目のほうです。

返ってきた答え読み方
同じ商材で運用した実績があり、そのときのCVRを置いた根拠がある。実績の時期と媒体を追加で聞く
近い業種の実績から、幅を持たせて置いた妥当な置き方。どこを近いと見たのかを聞く
業種の一般値を使った出どころを聞く。自社に当てはまるかは別の話
ご希望のCPAを教えてください見立てがない。ここから先は自社で持つ

数字が当たったかどうかは、あとから分かる結果の話です。提案の時点で見るのは、当てにいく根拠を持っているかどうかになります。

外れたときに理由を説明できる相手なら、翌月の打ち手も一緒に決められます。一方、説明が出てこない相手だと、外れたあとの会話が「市場が悪かった」で終わってしまいます。

「その商材は経験がありません」と言える相手を、外さない

見立てを聞いたときに、いちばん扱いに困る答えがあります。「その商材での運用実績はありません」という一言です。

一見すると、頼りない返事に見えます。ただ、無いものを無いと言える相手のほうが、あとで困りません。外れたときにも、同じ精度で報告してくるからです。

そのうえで、次の一手まで出てくるかを見ます。「近い業種の実績なら、この幅で置けます」「最初の1か月は幅を広く取り、実績が出てから絞ります」。ここまで出てくれば、経験の不足は補えます。

逆に、実績がないまま強気の数字だけが出てきた場合は、その数字がどこから来たのかを必ず聞いてください。出どころのない見立てで予算を決めると、成果が出なかったときに直す場所も分からなくなります。

運用が始まったあとは、差分を1行で聞く

提案の時点だけでなく、運用が始まってからも同じ確認が効きます。とはいえ、毎月の会議で長い議論をする必要はありません。

聞くのは1行です。「見立てのCVRと、実際のCVRは、どれくらい離れていますか」。

離れていれば、その理由を一緒に考えます。想定より着地ページが弱いのか、集めている人が違うのか。見立てが外れたこと自体は、問題ではありません。むしろ、外れた理由が分からないまま3か月が過ぎることのほうが、成果に効きます。

この1行を毎月続けると、運用担当にも見立てを持つ習慣が育ちます。次の提案では、聞く前に幅で答えが返ってきます。

運用を任せる相手の選び方は広告運用の支援事例に、CPAの水準の考え方はCPAの相場に書いています。

POINT

  • 目標の確認という形で、見立てをこちらに全部決めさせていないかを見る
  • 聞くのは「自分たちならいくらで取れるか」と「なぜその見立てなのか」の2つ
  • 見るのは的中率ではなく、外れたときに理由を説明できるかどうか

中間指標が伸びても、ゴールにつながるとは限らない

以前、広告代理店に検証を1つ依頼したことがあります。

成約地点(ダウンロード)の数字をもっと大きくしたい。そこでテストマーケティングとして、成約地点の前の成果を設定し、数字が伸びるかを検証しました。

正直に書くと、伸びるとは思っていませんでした。狙いは別のところにあって、何か別のKPIが反応するのかを測るために実施しています。エンゲージメントに対して課金される配信を使いました。

結果はこうなりました。

  • 広告はよく配信された
  • エンゲージメントも取れた
  • キャンペーンの参加数も伸びた
  • ダウンロードまで結びついているかは、深く追えなかった

返ってきたのは「数字がいいですよ」という報告だけでした。

中間指標の伸びと、ゴールの伸びが一致していない様子
中間指標の伸びと、ゴールの伸びが一致していない様子

欲しかったのは、伸び率の関係だった

中間指標が伸びること自体は、広告レポートを見れば分かります。知りたかったのは、その先でした。

  • エンゲージメントの増加と、ダウンロードの増加は、どれくらいの比率でつながっているのか
  • どれくらいの伸び率になるのか
  • 予算をもっと投下したら、KPIの数字は上がるのか
  • 中間の数字が上がるのは分かる。ゴールにしている成約数は上がるのか

ここまで分析したうえでのレポートが欲しかった、というのが当時の実感です。

ただし、依頼の仕方にも反省があります。いま同じ相談を受けたら、成果地点を動かすことは勧めません。

コンバージョンが増えるかどうかを決めているのは、接触のさせ方だからです。媒体の選び方、クリエイティブ、ターゲットの決め方。成果地点をずらしても、接触のさせ方は変わりません。伸びるとは思っていなかったのは、そのためでした。

依頼書に3行足すと、返ってくるものが変わる

レポートの依頼は口頭で伝えると、流れてしまいます。次の3行を、書いた形で渡してください。

  • 中間指標とゴールの、月ごとの増減を並べて出す
  • その2つの伸び率を、比率で出す
  • 予算を増やした月と、増やさなかった月に分けて見せる

出せない項目があれば、出せない理由を書いてもらいます。理由が「計測がつながっていない」であれば、そこが次に手を入れる場所になります。

「数字がいいですよ」という報告が返ってくるのは、依頼の粒度がここまで細かくないときです。粒度を上げると、成果が伸びたのかどうかまで返ってきます。

管理画面を自分で開く人が、社内に1人要る

この検証から残ったのは、道具の話ではなく人の話でした。

レポートの資料だけを見ていると、報告の言葉をそのまま受け取ることになります。管理画面を自分で開いて数字を見比べる担当者が社内にいないと、本当の原因にたどり着かないまま広告予算が使われていきます。

騙されているわけではありません。聞かれなかったことは、報告されないだけです。

運用者が悪いという話でもありません。定常業務として媒体に出稿し、獲得できたかどうかを報告する。その役割のなかでは、報告は正しく行われています。ずれているのは、こちらが求めているものが伝わっていないところです。

だから、頼み方を変えます。「中間指標とゴールの伸び率の関係を出してほしい」と、依頼の言葉にしてしまうのが早い方法です。

計測の入口を整える話はアクセス解析の支援に、予算の振り分けは広告費の配分に置いています。

POINT

  • 中間指標の増加は、ゴールの増加を保証しない
  • 頼むのは数字の報告ではなく、中間指標とゴールの伸び率の関係
  • レポートを読む人とは別に、管理画面を自分で開く人が社内に要る

この読み方が効かない場面もある

見立てを確かめるやり方が働きにくい場面が、4つあります。

誰にも実績がない立ち上げ期。 自社にも広告代理店にも、その商材のデータがない。ここで見立てを求めても、答えは薄いままです。先に決めるのは数字ではなく、いつ、何を見て、見立てを直すかのほうになります。

獲得の件数が少ない。 月の獲得が一桁だと、CPAは1件の増減で大きく振れます。単月の数字で見立ての良し悪しを判定すると、判断のほうが毎月変わってしまいます。

期限が決まっている。 予算の消化期限や、上申の日程が先にある場合、腰を据えて確かめる時間は取れません。範囲を狭めて、1媒体だけで試すところから始めてください。

契約が実行だけを含んでいる。 プランニングは自社で、運用の実行のみを委託している場合、見立てを聞く相手は代理店ではなく自社になります。

どの場合も、確かめること自体をやめる理由にはなりません。聞き方と、確かめる範囲が変わるだけです。

ここで挙げた4つは、どれも代理店の力量とは関係のない事情です。

条件が悪い時期に成果が伸びなかったことを、担当者の責任として処理してしまうと、次の見立てはさらに保守的になります。守りに入った数字からは、伸びる打ち手が出てきません。

止めるかどうかの判断は、この記事では扱っていません。広告を止める判断基準と運用型広告の支援に、それぞれ分けて書いています。

よくいただく質問

Q. 意思を聞いたら「ご希望のCPAを教えてください」と返ってきました。

そこで引き下がらず、範囲を狭めてもう一度聞いてみてください。「同じくらいの単価の商材で、直近1年に運用した案件はありますか。そのときのCVRは、どのあたりでしたか」。

実績があれば答えられます。答えが出てこなければ、見立ては自社で持つ前提に切り替えます。責める場面ではなく、役割を決め直す場面になります。

Q. 根拠が「他社の実績」でした。自社に当てはまりますか。

そのままは当てはまりません。確かめるのは3つです。商材の価格帯、検討期間の長さ、コンバージョンの定義。

この3つが近ければ参考になります。しかし、1つでも大きく違うとCVRが変わるので、その数字はそのまま使えません。

Q. 提案の時点で強気の数字を出す広告代理店のほうが良いということですか。

逆になります。見ているのは数字の高さではなく、根拠の有無です。

根拠なく強気の数字を出す相手は、外れたときの説明もできません。「この条件なら、この幅に収まると思います」と幅で答える相手のほうが、経験を持っていることが多いと感じています。

Q. 中間指標とゴールの関係を出してほしいと頼んだら、計測の都合で出せないと返ってきました。

つながっていない箇所を先に特定してください。広告の管理画面と事業側のデータが別々に置かれていることが理由の場合、全部をつなぐには時間がかかります。

先に1媒体・1キャンペーンだけで手作業の突き合わせをすると、関係が見えるかどうかは判断できます。そのうえで、つなぐ範囲を決めます。

Q. 社内に管理画面を見られる人がいません。

最初から運用者と同じ深さで見る必要はありません。月に1回、コンバージョン数、CPA、CVRの3つを、自分で画面から書き写すところから始めてください。

報告の数字と合っているかを見るだけでも、次に聞くことが変わります。

まとめ:見立ての出どころを、一度だけ聞いてみてください

広告レポートが読めないのは、指標の知識が足りないからではありません。数字を置いた人の見立てが、見えていないからです。

目標CPAは、媒体のツールが出した予測ではなく、担当者が置いた仮定値でした。式の入口にあるCTRとCVRを決めているのも、同じ人になります。

今日できることを1つ挙げます。直近のメディアプランかシミュレーションシートを開いて、目標CPAの欄を見つけてください。 そのあと、担当者にこう聞いてみてください。

「この数字は、何を根拠に置きましたか」

答えが返ってくれば、その広告代理店は見立てを持っています。返ってこなければ、見立てはこちらで持つ、と決めるだけです。5分あれば聞けます。

この1問は、代理店を試すためのものではありません。数字の後ろにある判断を共有しておくと、成果が伸びなかった月に「どこの見立てが外れたのか」から話を始められます。

同じ数字を、同じ根拠で見ている相手とは、打ち手の相談が早く進みます。広告レポートを読む時間も、そのぶん短くなります。

数字の設計から一緒に見直したい場合は、広告効果測定の支援もあわせてご覧ください。

参考にした資料

※上の3件(デジマ女子・キーマケ・アユダンテ)は、広告代理店・支援会社が自社ブログとして公開しているものです。業界の実務を知る材料として引用しており、業界全体を対象にした統計ではありません。アユダンテの記事は2021年のもので、5年前の内容にあたります。

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この記事を書いた人

たけまるマーケティングディレクター

事業会社で17年、マーケティングの現場と決裁の場にいました。広告・コンテンツ・データのどれか一つではなく、売り方全体を決める側から見た話を書きます。